第十八章 記憶のなかで

母が亡くなってから、3年が過ぎた。私は35歳になっていた。

ある日、私は北海道に行くことにした。一人旅だった。

3年前、母と一緒に見たラベンダー畑。もう一度、見たくなったのだ。

飛行機に乗り、新千歳空港に降り立った。3年前と同じ空気。少しひんやりとした、清々しい空気。

レンタカーを借りて、美瑛に向かった。窓の外には、どこまでも続く畑が広がっていた。3年前と変わらない風景。でも、隣には母がいない。

ファーム富田に着いた。

観光客で賑わっていた。家族連れ、カップル、友人同士。みんな楽しそうに写真を撮っている。私は一人で、ラベンダー畑の中を歩いた。

紫色の絨毯が、目の前に広がっていた。甘く爽やかな香りが、鼻腔を満たした。3年前のことが、鮮明に蘇ってきた。

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