「どうして?」

「おかしいでしょう? 八歳も年下の男の子に夢中になるなんて」

私の問いかけに、カウンセラーは答えなかった。

「おかしいの。理性がそう言ったの」

「理性?」

「そう。私の監視役。感情に流されてばかなことをしないように、冷やかな目で私を見下(みくだ)しているの」

「どんな人?」

「私ですよ。冷たい表情をした私。いつも私の斜め後ろにいて、見下したような顔をして私を見ているの。感情で動こうとすると、肩に手を置き振り向かせ、ばかにした顔で私を見るんです」

「そのあなたが、あなたを抑えているのね?」

「あのときはね」

そう言った瞬間、吐き気がした。

「あのまま、監視役がいてくれたら、こんなことにはならなかったわ!」

私は叫んだ。

以来トーヤは、暇さえあれば訪ねてくるようになった。

朝十時すぎ頃やってきて、ピアノ室のソファーに寝ころんで本を読み、眠くなったら昼寝をしていた。

私はトーヤを邪魔だとは思わなかった。彼はピアノ室のソファーから滅多に離れなかった。だから、掃除洗濯に支障をきたさないし、動き方も静かでほとんど音を立てずに歩くから、時々いることを忘れてしまうほどだった。

でも本当にいないと不安になった。とにかくトーヤが視界の中に入っていれば、それで安心するのだった。もちろんもっと近づきたいと思う衝動が突発的に襲ってきたが、私は見ているだけで彼に触れようとはしなかった。

触れてしまったら、めちゃくちゃ忘我して、片時も離せなくなってしまいそうだった。だから私はあまり彼には近づかず、眺めているだけだった。

次回更新は4月23日(木)、14時の予定です。

 

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