私の目を惹きつけたものは、トーヤが放っている色だった。瞬時に、絹の光沢を思い出した。艶やかだが掴みどころがなく、それでいて明暗のはっきりした幽玄な輝きだった。

その色を放つ肢体は、まだ男の筋肉がつき切っていなかったし、腰は私の腕でも充分余るほど細かった。さらに、少しでもうつむくとすぐに顔を隠してしまう霧雨のような髪と顎の細い線が、男としては弱すぎる感じがした。

そんな容姿を持ったトーヤの雰囲気は、何となく不安定で運が弱そうだった。それでだろうか、私は彼から目が離せなかった。

みちるはあの性格だから、トーヤとすぐに打ち解けていたが、私は遠くから眺めるだけだった。私はピアノと話すのは得意だったが、生身の少年には言葉すら通じないのではないかと思った。

少年とどういう会話をすればいいのか解らなかったから、彼が近づいてきただけで自律神経の働きが狂い、顔は真っ赤になるし、心拍数は上がるし、汗はだーだーと流れてきて、そのたびに更衣室で着替える羽目に陥るのだった。

トーヤが店に来てからは、私はパブへ出勤するとき、三回分の着替えを持つことと、ファンデーションをべったり塗っていくことが習慣になった。真っ赤になる顔を隠すにはこれしかなかった。

「ひいちゃん、全然彼に慣れないわねぇ」

みちるが私の額に浮かんだ汗を見ながら笑った。

「やめてよぉ。何でこんなに緊張するのか、自分でも解らないんだから」

私は火照った頬に手を当てた。今日初めての着替えだった。

「そんなに汗だくになるほど気になる子かしら?」

みちるはくすくす笑って、私の着替えを見つめていた。