【前回の記事を読む】業務指示に潜む"見えにくいコスト"――指示が不明確な際の手戻り対応、本部問い合わせ対応…無駄コストを解消するには?
第1章 業務指示はコストであり、戦略的手段である
ケースで考える「指示の質=伝わりやすさ」の重要性
これまで、チェーンストアにおける業務指示に伴う“時間的・物理的コスト”を、定量的な観点から整理してきました。しかし、同じ内容の指示であっても、「伝え方」ひとつで現場の理解度や実行精度に大きな差が生じます。本章では、「指示の質=伝わりやすさ」という視点に着目し、その重要性を具体的なケースを通して考察します。
ケース①:新商品の陳列指示
【悪い指示の例】
「A商品を目立つ場所に展開してください」
このような曖昧な指示は、「目立つ場所」の定義が不明確であり、陳列方法や販売意図示されていません。そのため、現場スタッフは内容を補完して判断する必要があり、店舗ごとに対応がバラつく恐れがあります。加えて、内容の確認や再実施といった“手戻り”が発生しやすく、業務の非効率やスタッフのストレスにもつながります。
【良い指示の例】
「4月発売の新商品Aについては、20〜30代女性をターゲットとした重点販売施策として、入口右側のメイン棚(棚番:S–1)に1フェイス4段で展開してください。あわせて、添付PDFの販促POPを掲出し、『春の新生活応援キャンペーン』とひと言添えて接客してください」
この指示は、「なぜ」「どこに」「どのように」「どう伝えるか」といった観点が明確で、現場スタッフが“迷わず”行動に移せる書き方になっています。その結果、店舗間の施策実行レベルの統一が実現され、業務の効率性と売上効果の最大化が期待できます。
このように、同一内容の指示であっても、指示の質(伝わりやすさ)が乏しいと業務指示への対応時間に与える影響は非常に大きく、組織全体の生産性を左右する要因となります。