はじめに

チェーンストア企業における業務指示は、毎日のように本部から店舗へ届けられます。新商品の展開、キャンペーンの案内、在庫調整や人員配置、そして緊急対応……。こうした指示ひとつひとつが、現場の動きをつくり、会社全体の成果に直結しています。

でも、そんな"業務指示"に、どれほどのコストと影響力があるかということを、普段から意識している人はどれくらいいるでしょうか?

少し怖い表現になりますが、「たった1通の曖昧な指示が、全国の現場に無駄な作業を生み出してしまう」ことがあります。それに対し、本部での指示訂正は、ほんの数十秒で済むかもしれません。でもその向こうでは、実は数百人の店舗スタッフがその修正を受けて作業をやり直しているのです。

想像してみてください。仮に自身の指示の説明不足や誤りによって、全店舗で15分の手戻りが発生したとします。1店舗に3人のスタッフが関わっていて、時給1300円だとすれば……。

1300円×0.25時間×3人×100店舗=9万7500円

この見えない"人件費の損失"に、申請も、承認もありません。

たった5000円の備品を買うときにも申請書が必要なのに、見えないところでは10万円近いコストが日々消えている現実……これは、おかしな話ではないでしょうか?

もっと一人ひとりが、自分の出す指示の意味や影響に責任を持つべきなのではないか。見えないコストを意識し、無駄や誤解を生まない"伝わる指示"そして"成果を生む指示"に取り組むべきなのではないか――私たちはそう考えています。