3.「予期しなかった死亡」要件の判断は難しいのか

「医療起因性」の判断は容易であるが、「予期しなかった死亡」要件の判断は分かりにくく難しいとの意見があるという。これは誤解に基づくものと思われる。

「予期しなかった死亡」要件については、医療法施行規則第1条の10の2において、「予期しなかった死亡」要件に該当しない類型が列挙されている。

また通知で、「当該患者個人の臨床経過等を踏まえて、当該死亡又は死産が起こり得ることについての説明及び記録」との追加説明もなされている。

具体的には、

①医療を提供する前に医療従事者等が患者又はその家族に対して当該死亡等が予期されることを説明していた場合(1号)、

②医療を提供する前に医療従事者等が当該死亡等が予期されることを患者のカルテ等に記録していた場合(2号)、

③管理者が、医療従事者等からの事情の聴取、医療安全委員会からの意見の聴取を行った上で、医療を提供する前に医療従事者等が当該死亡等を予期していたと認めた場合(3号)

が明示されており、1号、2号、3号のいずれかに該当すれば報告対象とはならない。

したがって、「予期しなかった死亡」要件は特殊な例を除いて、事務的に判断できるのである。一方、「医療起因性」要件には疑い例も含まれており、医師が判断しなければならない部分が多い。

このために法令で規定することが難しく、通知で「医療に起因する(疑いを含む)死亡又は死産」の考え方を示すにとどまり、管理者判断とされたものである。

このような事実経過を考えれば、決して「予期しなかった死亡」要件の判断が難しいということはない。むしろ「医療起因性」判断の方が悩ましいことが多いのである。

 

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