【前回の記事を読む】医療事故は誰の責任? 医療事故調査制度の理論の根底にある「医療の内」と「医療の外」を切り分ける考え方とは

第2章 医療事故調査制度の全体像を理解するために

(Ⅰ)医療事故調査制度でいう医療事故の定義とは

(3)「医療事故」の定義

1.「医療事故」の定義の条文

改正医療法第6条の10の条文は、「病院、診療所又は助産所(以下この章において「病院等」という。)の管理者は、医療事故(当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったものとして厚生労働省令で定めるものをいう。以下この章において同じ。)

が発生した場合には、厚生労働省令で定めるところにより、遅滞なく、当該医療事故の日時、場所及び状況その他厚生労働省令で定める事項を第6条の15第1項の医療事故調査・支援センターに報告しなければならない。」となっている。

すなわち、「医療事故」の定義は、「当該病院等に勤務する医療従事者が提供した医療に起因し、又は起因すると疑われる死亡又は死産であって、(かつ)当該管理者が当該死亡又は死産を予期しなかったもの」であり(図2-2)、この「医療事故」が発生した場合には、病院の管理者は、遅滞なく、センター報告を行わなければならない。

「遅滞なく」とは、正当な理由なく漫然と遅延してはならないのであり、当該事例ごとにできるだけ速やかに報告することが求められている。

おおよその目安としては1カ月程度が見込まれている。医療法第6条の10は、「予期しなかった死亡」要件については、別途省令で定めるとしており、この要件については、「医療事故調査制度の施行に係る検討会」で討議されて決定された。

写真を拡大 図2-2 第4回施行に係る検討会提示厚労省資料(医療事故の定義図)