2.「医療事故」とはどのような事案か
「医療事故」とは、「医療に起因する死亡」要件と「予期しなかった死亡」要件を共に満たすものであり、図2-2網かけ部分の「制度の対象事案」である。
また、この「医療事故」の判断に際しては、「医療に起因する死亡」要件と「予期しなかった死亡」要件の2つのみによって判断するものであり、過誤の有無は関係ないのである。
「医療に起因した死亡」要件と「予期しなかった死亡」要件のどちらを先に検討するかについては、規定がないため、どちらを先に検討してもよいが、それぞれを独立して別々に検討する必要がある。
例えば「医療に起因する死亡」要件に該当した場合には、独立して別途「予期しなかった死亡」要件に該当するか否かの検討が必要であり、「予期しなかった死亡」要件を先に検討した場合も同様に、別途独立して「医療に起因する死亡」要件に該当するか否かを検討しなければならない。
制度の対象事案たる医療事故は、このように2つの要件によって明確に定義されており、「医療事故の疑い」のあるものは含まれない。
すなわち、「医療事故の疑い」のあるものが「医療事故」なのではなく、「医療に起因すると疑われる死亡又は死産」が「医療事故」となり得るということである。
日本医療安全調査機構が、「医療事故の疑い」のあるものも制度の対象事案たる「医療事故」に含まれるとの解説を行っていたが、これは誤解である。医療事故の疑いは報告対象ではないことを確認しておきたい。
制度の対象事案たる「医療事故」は、「医療に起因する死亡」要件と「予期しなかった死亡」要件を「かつ」(AND)で結んだものであり、「または」(OR)ではない。
この「医療事故の範囲」の違いにより、試算時の数値と現制度の報告数には違いがあるのであって、このことは、当時の塩崎恭久厚労大臣が適切に答弁している。