マンションのエントランスに入る直前も、秋斗が周囲を警戒する。

「一応、俺周り見てくるから。先帰ってろ」

「そこまでしなくていいよ、もう大丈夫だと思うから」

「いや、家が知られてたらやばいだろ。この様子も見られてたら相手を逆上させてるかも知れないし」

「え、ねぇ、ちょっと……!」

理子の制止より先に、秋斗は踵を返して行ってしまった。

理子は部屋に戻り、玄関近くで秋斗の帰りを待っていた。すると10分くらいで靴音と、隣の部屋の鍵を開ける音がして理子は慌てて部屋を飛び出す。

「あの!」

「……何」

「あ、ごめん、びっくりさせちゃったよね」

「いや、いいけど。出てくるとは思わなかった」

「その……さっきのお礼が言いたくて」

理子はさっき玄関近くで待ちながら考えていたことを口にする。

「あのね……私、変わろうと思ったの。豊橋に嫌なことは嫌だって主張しろって言われて。思い返したら私、昔からずっと自分のことブスだと思って、身の丈にあった行動をしようって、可愛いってこいつ自分のこと勘違いしてるんだなってあざ笑われるのが怖くて」

それは、先日1人で夜の散歩に出た時考えたことだった。

次回更新は3月26日(木)、11時の予定です。

 

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