【前回の記事を読む】内視鏡がなかった時代の治療方法……大腸の中を直接見たくなった古代人。ヒポクラテスは肛門に——
1章 大腸カメラ革命、恥じらい・つらさ・ためらいとはもうおさらば!
コラム 内視鏡開発の歴史
さらに1881年、ミクリッチらにより初めて硬性胃鏡が作られ実用化されましたが、これも曲がらない金属の筒でした。その後、1909年にドイツ人医師エルスナーが長さ76cm、直径11mmで先端4cmが曲がるエルスナー式軟性胃鏡を開発し、患者の咽頭に麻酔薬を塗って胃に入れることに成功しています。
さらに、ドイツ人医師シンドラーと技師ウォルフらが、光源と軟性部の改良が加えられたシンドラー式軟性胃鏡を開発し、1932年に医学会で実物を発表して賞賛を得ました。
彼らが作った胃鏡は、全長75cm、直径11mmで先端部分に豆電球が灯り、胃を膨らませるための空気を送り込む装置が付いていました。先端に近い1/3の部分の軟性内部には40個のプリズムが配置されて胃の像が手元で見られるように改良されていました。
しかし、胃への挿入には熟練を要することや、医療事故が起こること、映像がかなり暗く胃の一部しか見られないことなどの欠点がありました。
その後1949年、日本で、胃の中を自由にのぞき見ることができる内視鏡検査をしたいと、東京大学附属病院分院の外科医宇治達郎先生からカメラの会社であるオリンパス光学工業株式会社(現・オリンパス株式会社)に開発の話が持ち込まれたことから、胃カメラの開発が本格的に始まりました。
翌1950年にできた試作1号機は本体軟性部の先端に撮影レンズがあり、フィルムは白黒で幅6mm、手元の操作で豆ランプをフラッシュさせて撮影し、ワイヤーで引っ張ってフィルムを巻き上げるものでした。
その後、危険がなく患者に負担を与えない、胃内壁すべてを短時間に撮影できる、鮮明な映像で診断できるという理想を追い求めて胃カメラは急速に発展し、完成度を高め、広く普及していきます。
新素材グラスファイバーを取り入れ、診断と治療も行えるように改良され、電子スコープを経て2002年からはハイビジョン内視鏡システムへと進化し、高画質、高品位な画像へと現代の内視鏡システムに近づいてきました。
現在はAI診断サポートシステムが開発され、胃がんや大腸がんの早期発見と治療のためにさらなる進化を続けています。
2章 大腸がんの疫学、検査について
2-1 大腸がんは一番多いがん、早期発見・早期治療で寿命が延びる
大腸がんについて疫学と統計の話をしたいと思います。
日本では2人に1人ががんになり、4人に1人ががんで亡くなるといわれています。
日本での死因は、1981年から心疾患、老衰、脳血管疾患、肺炎を抑えてがんが第1位で、死者数は増え続けています〈図6〉。
