【前回の記事を読む】日本人は4人に1人が「癌」で亡くなる。最も多いのは「大腸がん」——ただ、生存率は“とある行動”によって大きく変化する。

2章 大腸がんの疫学、検査について

2-1 大腸がんは一番多いがん、早期発見・早期治療で寿命が延びる

大腸がんステージⅠの5年生存率は95%以上あるので早期発見することで高い治癒率が期待できるのですが、そのためには自覚症状がない時期からの大腸カメラ検査が必要です。

なぜなら、大腸がんは自覚症状がない人が多く、厚生労働省受療行動調査では、自覚症状があった方が49・6%、自覚症状がなかった方が38・9%、覚えていない方が4・0%、無回答が7・5%と報告されているからです。

基本的に早期の大腸がんには臨床症状はありません。早期発見につなげていくために、例えば大腸がん検診で少量の便を2日続けて採って検査に出す便潜血検査(2日法)の受診率向上、便潜血検査陽性後の大腸カメラ受診率向上、そして腹部症状に対する消化器内科クリニックへの受診率向上への工夫が必要であると考えます。

大腸がんを疑う腹部症状には、便秘、下痢、腹痛、便が細い、便に血が混じる、お腹が張る、ガスが多い、おならが臭いなどが挙げられます。また、吐き気がある、食欲がない、体重が減ってきた、などの症状がある場合にも大腸がんが隠れていることがありますので、受診が必要です。

お腹の症状が特にない場合でも、40歳以上の方には定期的な検診として便潜血検査(2日法)を推奨します。便潜血検査が陽性になった場合は、放置せずにその後消化器内科を受診して大腸カメラを受けることが必要です。大腸カメラ検査やその他の検査で大腸がんを発見する方法の詳細は、2‒3でお伝えしたいと思います。

2-2 分かってきた大腸がん、原因と遺伝子異常について

次に大腸がんの原因についてお話しします。

大腸がんの原因は加齢(50歳以上)、遺伝、タバコ、過量のお酒、現代の食生活の乱れ(高脂肪食)であることが明らかになっています。さらに大腸がんのリスクを上げるものとして肥満が挙げられ、女性では加工肉や赤肉もリスクを高める可能性があるといわれています。

大腸がんのリスクを下げるものとしては適度な運動が挙げられ、下げる可能性があるものとしては食物繊維、カルシウム、魚油由来の不飽和脂肪酸があります。

大腸がんは遺伝子の多段階発がんによって発症することが分かっています。多段階発がんとは大腸がんに関わる遺伝子異常が積み重なることで発がんすることをいい、ブレーキ役のがん抑制遺伝子APCやアクセル役のがん遺伝子K-ras、がん抑制遺伝子p53の遺伝子変異や、DNAメチル化異常といった遺伝子異常の連鎖が関与しています。