はじめに

私は消化器内科の開業医として日々診療に携わり、苦痛の少ない鎮静・鎮痛大腸内視鏡(大腸カメラ)検査を実践しています。

これまで大腸カメラ用医療機器の開発を通して、苦痛の少ない大腸カメラ検査法の開発と普及活動も行ってきました。

その大腸カメラ検査には、苦しくて、痛くて、つらくて、恥ずかしい検査というイメージが根強くあり、敬遠されている方が多くおられるように思います。

しかし、そうではなくなってきていることをお伝えしたく本書を執筆いたしました。

医療は日進月歩で進化しており、大腸カメラに関する医療機器はAIの導入も進み、常に新しくなっています。

苦痛の少ない内視鏡検査を心掛ける消化器内科医が増えてきたこともあり、安心・安全・安楽に大腸カメラが受けられる時代になっています。

大腸がんは今や一番罹患率(新たに診断された発症率)の高いがんです。早期発見できれば治る可能性が高いがんでもあります。

その大腸がんの発見には大腸カメラ検査が必須です。大腸の症状があれば消化器内科を受診して、大腸カメラを早期に受けることが大腸がんを減らすことにつながります。

本書では、大腸カメラとはどのような検査なのか、新しい大腸内視鏡関連医療機器はどのようなものが生み出されているのか、大腸カメラで苦痛を取るためにどのような工夫がされているのか、大腸カメラを行うクリニックの選び方などに力点を置いて記述しています。

健康や便利さは損なったときに初めて、そのありがたさに気づくものです。お腹の調子やトイレについても同じです。

いつ何時トラブルが起こるか分からないのですが、平時は考えることはないのが普通だと思います。

そこで普段から活躍している大腸や便の大切さ、トイレのありがたさを知っていただく取り組みも本書で触れました。