【前回の記事を読む】「恥ずかしい・つらい・痛い」から「安心して受けられる医療」へ──大腸カメラに対するイメージを変える医療の進化と改善とは …

1章 大腸カメラ革命、恥じらい・つらさ・ためらいとはもうおさらば!

1‐1 もう恥ずかしくない! 新しい大腸検査用ハーフパンツ

便やガスには、汚れや臭いの問題だけでなく、感染のリスクも伴います。腸内には100兆個を超えるたくさんの腸内細菌だけでなく、下痢を起こす病原菌やノロウイルスなど、病原体もいます。

これらの感染リスクを減らすため、これまで検査中は吸水マットを敷いて終了後に便汁を拭き取り、ベッド消毒をする清拭で対応してきました。しかし、昨今物価の高騰で、清拭に必要な物品も値上がりしています。

現在のところおむつ以外の清拭のコストは診療報酬に上乗せできないシステムになっているため、施設が経営的に圧迫されるという問題もありました。そういったあらゆる面で、便汁やガスは検査室内に出る前に吸着するほうが検査室環境汚染対策に良いのは明らかだったのですが、体系的な解決方法がなかったのです。

「大腸カメラ用吸水防護体付き穴あきトランクス」には大腸カメラを挿入できる穴があり、さらに、縫製したおむつのインナーが内側に縫い込まれています〈図2〉。

「えっ!! パンツやおむつに穴あいているの?」「穴があいているならパンツやおむつの意味ないのでは?」と思われるかもしれませんが、検査直前に穴があけられるようなある工夫を施しました。

それは、おしりのところに白い紐を通し、それを引っ張って取ることで穴があくようにする仕組みです。おむつ素材で透けて見えないうえに、トランクスタイプのハーフパンツでおむつを内側にはいているようには見えないので、恥ずかしさもなくなりました。おしりがすっぽりぶ厚いおむつで包まれているので安心感があるとの声もあります。

また、おむつ部分の吸水防護体がパンツ内で便汁やガスを吸着するので、臭いや汚れを想像以上に吸着し、恥ずかしさも軽減してくれます。細菌やウイルスによる感染リスクを低減させるとともに、衣服やベッドも汚れにくくしてくれます。

おむつ部分は前からお尻まで十分にカバーできる大きさなので、万が一尿をしても大丈夫です。また、生理中であっても心配なく使用することができるようになっています。生理中は大腸カメラを避けたいと思われがちで、直前になって検査を延期されることもしばしばありました。

「もし生理が来ても問題なく使える、おむつを内包したトランクスタイプの飛散汚れ防止機能付きの大腸検査用ハーフパンツがありますよ」と説明できるようになったのも、メリットとして挙げられます。

安心・安全・安楽な内視鏡検査を行うためには何が必要であるかを追求した結果、「大腸カメラ用吸水防護体付き穴あきトランクス」という新たな医療商品が生まれました。もはや大腸検査は恥ずかしい検査ではありません。