【前回の記事を読む】間に合わず漏らしてしまう「切迫性尿失禁」とは?帰宅時の急な尿意の他、水の音や冷えに反応してしまう例も。
第2章 改善へ向けた当院の診断・診察の進め方
2.診断プロセスの詳細解説
前のページで紹介した新患患者の診断の進め方について、もう少し詳しく解説していきます。
排尿障害の診断の進め方
1.問診とアンケート評価
・国際前立腺スコア(IPSS)と過活動膀胱質問票(OABSS)を用いて排尿障害を点数化します。
・この数値化された指標により、排尿障害の重さの程度や患者が最も困っている症状を把握します。
2.尿検査
・血尿、混濁尿、糖尿、蛋白尿の有無を調べ、他の疾患(感染症、癌、結石など)の可能性を確認します。
・尿比重は尿の濃さを示し、腎臓の濃縮・希釈機能の評価に役立ちます。
3.超音波検査
・前立腺のサイズ、残尿量、腎臓・膀胱の状態を観察します。尿路系全体の情報が得られます。
4.オプション検査
・尿流測定で尿の勢いや膀胱容量を評価します。
5.血液検査
・全身状態を把握するためのスクリーニング検査を実施します。腫瘍マーカーのPSA測定は前立腺癌の早期発見に有用ですが、前立腺肥大症や前立腺の炎症でもPSA値が上昇する場合があります。
70歳以上の正常なPSA値は、4・0ng/ml以下とされています。65~69歳では3・5ng/ml以下、50~64歳では3・0以下です。
6.触診
・初診時には、炎症や癌が強く疑われる場合を除き、直腸診を行いません。再診時に必要と判断される場合には、患者に説明の上で実施します。一般的には下腹部までの診察で、尿道や亀頭部に異常がない限り、陰部の診察は行いません。
7.所見
・尿所見:血尿、尿路感染の有無など、他の疾患の有無をチェックします。尿路結石、腫瘍、炎症などの除外をします。
・超音波所見:前立腺肥大症の診断、膀胱の形態、機能(残尿)の診断をします。腎臓、尿管疾患の除外に使います。