8.評価
・尿検査では、尿路感染や血尿を伴う疾患(癌、結石など)の兆候は見られません。
・尿比重の結果から、患者はここ数時間は普通の過ごし方をしていたと推測されます。
・経腹式超音波検査では腫瘍や結石は見当たらず、尿路系に前立腺肥大以外の構造的変化はありません。また、残尿が少ないため、極端な排尿障害はないと判断されます。
・PSAは正常範囲で前立腺癌は否定的です。
9.診断
過活動膀胱症状を伴う前立腺肥大症
・前立腺肥大症があり、過活動膀胱質問票の評価から過活動膀胱症状を合併していることが確認されました。
・排尿症状と蓄尿症状のバランスを考慮しながら治療を進める必要があります。
10.治療方針
・目標は、過活動膀胱症状の消失、残尿の解消、スムーズな排尿の実現、そして夜間頻尿の改善(1・5回以内)です。
・初期治療として薬を処方し、2週間後に改善の程度を確認します。
・夜間頻尿の改善が思わしくない場合は、残尿が正常であれば排尿バランスは良好と判断して生活指導を追加し、夜間排尿回数の記録用紙を渡して患者の行動を記録してもらいます。
3.当院での夜間頻尿に関する診察の進め方
当院では、次のような診察の流れで夜間頻尿の問題に対応します。
〈診察〉
夜間頻尿を訴えて来院された場合、まず経腹式超音波検査を行い、前立腺肥大の有無や残尿の程度を調べます。その後、アンケート調査でIPSS(国際前立腺スコア)による排尿障害の程度、OABSS(過活動膀胱質問票)による蓄尿障害の程度を評価します。
これらは症状を数値化して重症度を判定し、また困難の程度(QOL)を調査します。この結果をもとに、治療が必要と判断すれば残尿とのバランスを考慮しながら、まずは内服薬の調整を行い夜間頻尿を含む排尿障害の改善を目指します。排尿障害治療の必要のない場合で夜間頻尿のみを訴える場合はその調査と生活指導に入ります。