設計DXからダウンストリームDXへ

もともと、軽量3DフォーマットXVLの開発は、2000年代初頭のインターネット時代が本格化する中で「いつでも、どこでも、だれでも3D」というCasual3Dのコンセプトを実現しようと始まった(図4-2)。

写真を拡大 図4-2 当初構想したCasual3Dの考え方

3D CADは高価で操作も難しく、しかもデータが重い。したがって、後工程では紙図面や紙帳票が流通している。

これらを誰もが分かりやすい軽量3Dモデルに置き換えてコミュニケーションの手段とすることで、組織の壁を越えて業務の並列化を進めようと考えたわけである。

しかし、第2章でも述べたように、あれから25年が経とうとしているのに、80%近くの会社でまだ紙が流通する状態である。

本書では、データが組織の壁を越えられない状態をデジタル家内制手工業と呼んできた。これに対して、組織の壁を取り払い組織間でデータを共有した状態はDXと呼べるだろう。

つまり、製造プロセスを変えて、並列化させたプロセス間で情報を共有し、集団脳を活かした業務に変えようということである。

本書では、3Dデータを共有してプロセスを変革することを製造業DX×3Dと呼んできた。

これは現在ではXVLパイプラインという考え方に進化している。

つまり、製品と同等の3Dデジタルツインを設計部門で作成し、それで擦り合わせを行い、紙図面の代わりに3Dデジタルツインを流通させて現場力を引き出すというデータのパイプラインである。

VRやAR技術で3Dモデルと現物を高度に融合させることで、日本の製造業の強みである現物ベースの擦り合わせ力や図面を読み解く現場力をデジタルで高めることができる。

試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。

 

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