【前回の記事を読む】「さっきの店員さん、ただの友人なんですか?」会社の部下である彼からの問いに「そうだよ」と答えると…
訳アリな私でも、愛してくれますか
絵本のような可愛いデザインのメニューを開き、それぞれランチセットAとBを頼む。Aは鶏肉のグリル焼きがメインディッシュでサラダとライス、そしてドリンクが付き、Bはオムライスにサラダとドリンクがついている。
お互いの近況を話しているうちに料理が運ばれてきて、手を合わせシルバー食器を手に取る。
「んっ、美味しいです! なんだろこのオムライスのソース……ただのトマトソースじゃない気がする……」
「ここのお料理、美味しいですよね。僕もよく食べに来ては料理の研究の参考にしてます」
「笹川さん、お料理されるんですか?」
「はい、趣味程度ですが」
「素敵な趣味ですね! 私は全然料理ができないので、見習いたいです。他に、何か趣味はあるんですか?」
「あまり多趣味な方ではないので、そのくらいしか……ああ、でも今度尊敬する建築家の展覧会があるんです。それには行こうと思っていて……」
(展覧会か。広告でもよくあるけど、建築もあるんだなぁ……)
くるみは職業柄、広告の展覧会に足を運ぶことも多い。仕事に活かせるという意味もあるし、単純に展覧会の雰囲気が好きでもある。
「展覧会、楽しいですよね。私も好きです」
「本当ですか? よければ今度の土曜日、一緒に行くっていうのはどうでしょう?」
「あっ、その日私の行きたい展覧会もあって……」
「だったら一緒に、はしごしましょう」
「はしご! それいいですね!」