【前回の記事を読む】「これ以上どう頑張ればええねん」女児の心の叫び。「早く元気になろうね」という看護師さんの言葉が宇宙人語のようだった
二章 大阪警察病院入院時代
どじょうvs.金魚の戦いの陣
大事に大事に育ててきたその金魚たちは退院後も飼い続けた。鮒ほどの大きさになり五年近く生きた。大きくなるたびに新しい水槽を買ってもらった。退院後も餌やりは私の担当だった。
しかし、誰が予想できただろう。後に「どじょうvs.金魚」の戦いの陣に発展することを。何を考えていたのか、弟が小学校から捕まえてきたどじょうを金魚の水槽に放したのだ。私の“許可なく”弟が勝手に放したのだ。
次の日の朝、プカプカ浮きながら金魚たちは骨だけになり立派に戦い抜いた雄姿を見せていた。私は泣きながら弟に激怒した。
すると弟は、「弱肉強食ってことやん、どじょうの方が強いってことが分かったやろ」と悪びれもなく言い返してきたのだ。なぜだか私は言い返すことができず、弟の答えに腑に落ち納得してしまった。私はまんまと丸め込まれたただのアホだった。
画びょう事件
病棟にはプレイルームがあった。プレイルームとは入院している子供たちが遊べる場所で、床は転んでも怪我をしないように発泡スチロールのような素材でできていて、テレビ、絵本、積み木やボールなどが置いてあった。
ある日、私と弟はプレイルームできゃっきゃっきゃっきゃっ笑って汗をかいて楽しく遊んでいた。私は調子に乗ってテレビが置かれている高い台に登った。私は病棟に響き渡るような大声で、「い・た・いぃーっっっ」と叫んだ。なんと足の裏に画びょうが一〇個ほどガッツリ刺さり流血していた。もちろんその足では歩けず、弟が看護師さんを呼んできてくれた。