5. 化学への道
高校時代は先生にも恵まれ、化学と生物に興味を持った。当時は石油化学の導入期で、化学技術者が不足し、企業では理科の先生まで引き抜く状況で化学科は全盛の時代となっていた。生物学科を卒業しても就職が難しい面もあるとされていたので、化学科受験することにした。
お陰様で新設の関西学院大学理学部化学科に合格できた。授業料も出して貰うので、両親を連れて入学式に臨んだ。両親は学問に縁のない人たちで、大学を訪問するのは初めてであり、関学の美しいキャンパスを見て喜んでくれた。
入学して暫くすると学部長秘書から学部長がお呼びですと声が掛かり、学部長室に出向いた。仁田教授からは〝お父さんに宜しく〟と丁重にお礼を言われた。金額は知らないがまずまずの寄付をしたらしい。両親もよほど嬉しかったのだろう。
試し読み連載は今回で最終回です。ご愛読ありがとうございました。
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