【前回の記事を読む】「高校生にもなって彼女がいないとはどういうことか!」――先生から〝彼女はいるのか〟と聞かれたので、いませんと答えたら…
生い立ち編 「勉強こそが人生を切り拓くと信じて」
4.父との戦いと価値観の変化
T君は難関大学を卒業後、大商社に就職され、世界で活躍された後、現在は定年を迎えられ各種ボランティアを主宰されている素晴らしい友人だ。Hさんのことは交流がないのでよく知らないが、同窓会でお会いした感じでは優雅な生活を送っておられるようだ。
学生時代は成績とかスポーツのできる人が尊敬されるが、社会では成果がより複雑化するのでお金持ちとか出世だけで尊敬されるものではない。本人が納得できればそれで十分である。
高等学校の還暦の同窓会で、理系クラスで何時もトップクラスの勉強がよくできる女性が話しかけてきた。〝広瀬さん、百貨店の清掃員の試験に合格しました。すごいでしょ〟と話しかけてきた。彼女はその仕事に満足しているので、幸せと思う。自分で幸せと思えれば、それが最高だろう。
また、夢野台高校で1番を通したK君は大学を卒業後、市役所に勤められ、定年後神戸市の外郭団体の社長をしておられた。私の名刺に農学博士と書いてあるのを見て驚かれた。我々の業界では博士号の取得者は沢山いるので何とも思わないが、役所では少ないので驚かれたのだろう。
社会での価値観はそれぞれなので各自が満足できればそれが最高だろう。学生時代は勉強とかスポーツができる人は尊敬されるが、社会に出ると価値観は多様化する。勉強ができた人が社会で成功する可能性は大きいが、全ての人が成功するとは限らないので、面白いものだ。
小学校5年生の時に目指した目標の達成は難しかった。家庭では勉強をする環境がなく、店の手伝いばかりさせられ、勉強どころではない。高校進学も父の方針により夢野台高校へ変更させられ、私の人生設計は初めから頓挫してしまった。