神戸大学での教員生活
話は前後しますが、研究所在籍中の1995年に純粋失読の研究で医学博士号を取得して、1999年公募に応じて神戸大学の審査に通り、同大の教員となりました。
さらに、同年実施された第一回言語聴覚士国家試験に合格して、学部3 年時の決意から実に25年後に正式な国家資格を得ることができました。
着任後、職位も短期間で順調に上がり、2002年ついに幼少期から憧れていた大学教授という職位に就くこともできました。
共同研究仲間の同僚教員や歴代の大学院生たちが市内のホテルで盛大に教授昇任祝いをしてくれたことをつい昨日のように思い出します。
教授になっても私は変わらず失語症研究を続け、青春時代あのように胸を熱くして回復を支援した失語症の方々のために貢献したいという思いは変わりませんでした。
それまで見聞きしてきた失語症に対する世間の無理解や誤解を解くために、2003 年には夏休み期間を使って、失語症とその周辺部分をわかりやすく解説した書籍(6)を出版することもできました。
今日まで私はこの仕事がまさに自分に与えられた天職と確信し、失語症になった方々の「よりよいコミュニケーション」実現のために誇りをもって脇目もふらずに臨床・研究・教育活動に打ち込み、この領域に貢献してきたつもりでしたが、実際のところはどうだったでしょうか。
私の熱意が虚しく空回りしていただけかもしれません。