【前回の記事を読む】えっ、私が神に!?  我の神(あれの命)が案内する、"神になる方法"と天上界へのスピリチュアルな旅がはじまる

承の章 古事記(こじき)(天上界)

事物(じぶつ)になれる神

八、

「まずは、伊弉諾の尊の国にまいりましょう。そのように思えば、到着できます」

─神通力は、ありがたいものである。

「このたびは、二人、いや二柱(神)の同行ですから、お互い、天の沼矛に手を添えて、気を合わせて、一、二の三でまいります」

そこで、二柱は、声を合わせて一、二の三で、到着したのが、伊弉諾の尊の国であった。黄金色に輝く稲穂の波は美しい。まわりの山々の眺望もすばらしい。

人々の往来も賑(にぎ)やかで、どの顔にも微笑 (ほほえ)みがあふれている……。

おや? 待てよ! 貴の神は、思わず、ぐぐっと息をのんだ。

みればみるほど、地上と、まったくかわりがない。瓜二つ、双子の兄弟のようである。

神通力で、天上にきたはずなのに、なにかの故障で、地上へ逆戻りをしたのだろうか。貴の神は、いぶかしく、我の神をみた。

ところが、我の神は涼しい顔をしている。

当然のことといわんばかりである。

我の神と貴の神とは、

地上界では、約1300年という、長い時間のちがいがある。

そのちがいが、このような齟齬(そご)(くいちがい)をきたしているのかもしれない、と、貴の神の意気は沈みがちであった。