話が脱線してしまった。チェストプレスの動作解説に戻ろう。

まずは立った姿勢(立位)で、マシーンでのエクササイズの動きを再現しよう。

肩を落として胸を張った姿勢を作る。ここで負荷はかかっていない。しかし、数回動作すれば、胸が張っている感覚を得ることができるだろう。

「負荷がない状態で動作をして筋肉を意識できる」これができれば、もうフォームは9割方完成したといっても過言ではない。あとは、この立位での動きに、マシーンの軌道を合わせるだけだ。

④シートに座り持ち手を握る。強く握ってしまうと身体の末端部(前腕や上腕三頭筋、肩)に負荷が載りやすくなる。また肩も挙がりやすくなる。しかし、力を全く入れないと、手首の関節を傷めることに繋がりやすい。

掌底に負荷がかかるように柔らかく持ち手を押さえよう。あとは、身体との対話から、あなたのベストな握りを探求するのだ。

⑤胸を張ってそこから、「胸をぎゅっと」収縮させる。この大胸筋の収縮によって持ち手は自然と前方に動く。

あくまでも主体は胸の筋肉(大胸筋)だ。主導となる筋肉の収縮伸展への意識を最優先しよう。筋肉の動きから動作(フォーム)が形成されるのだ。これは全てのエクササイズに共通する。

マシーンの軌道に身体を合わせるのではない。鍛えたい筋肉の動き(収縮伸展)が最初にあるのだ。その筋肉の動きに無理なく安全に負荷をかけるためにマシーンが存在する。

「筋肉から動きを創造する」これはマシーンだけではない。自重、バーベル、ダンベル、全てのエクササイズに共通する意識だ。

※競技スポーツの場合は、目的(動作)が最優先される。その目的を達成する動作の副産物として筋肥大が起きる。

ボディビルディングの「筋肉→動作」の意識で、スポーツ選手が筋トレを行うと、競技スポーツにおける動作がぎこちなくなる。

これが「鍛えた筋肉はスポーツでは役に立たない」という迷言に繋がっている。

⑥胸(大胸筋)をこれ以上固くできないところまで、痛いほど収縮させる。

そして、この完全収縮させた大胸筋への意識を抜かずに、胸を張っていこう。

この「胸を張る」意識を強めると、持ち手は自然と最初の位置にゆっくりと戻る。

⑦心地よい胸の張りが保てるところまで、持ち手を戻す。

そして、そこから再度、胸を「ぎゅっ」と収縮させる。

この「気持ちのよい張りからの、ぎゅっ(収縮)」これを切り返し動作と呼ぶ。

切り返し動作は、特に丁寧に行おう。目安は、1秒静止して、そこからゆっくり味わうようにぎゅっ(収縮)としていく。

怪我は、切り返し動作で発生しやすい。雑に行えば、筋肉や腱は簡単に断裂する。

次回更新は9月22日(月)、11時の予定です。

 

👉『とりあえず筋トレしろ』連載記事一覧はこちら

【イチオシ記事】その夜、彼女の中に入ったあとに僕は名前を呼んだ。小さな声で「嬉しい」と少し涙ぐんでいるようにも見えた...

【注目記事】右足を切断するしか、命をつなぐ方法はない。「代われるものなら母さんの足をあげたい」息子は、右足の切断を自ら決意した。