まさにお寺にとって厳しい冬の時期が到来している現在、どれだけ歴史のある名刹古刹であっても檀信徒がいなければお寺を護持することはできません。ではお寺にとっての宝とも言える方々の割合が少なくなってきているこの現状にどう向き合うべきなのでしょうか?
今まで申し上げてきたような厳しい時代であっても今現在でも菩提寺を大切にしてくださる檀信徒はまだまだ沢山おられるようにも感じております。その方々というのは菩提寺の為にひと肌脱ぐことを惜しまない方々であります。
お寺の行持には積極的に参加をしてくださいます。御先祖さまが眠る菩提寺を大切にして綺麗でいて欲しいと願っておられます。親戚友人に菩提寺を積極的にご紹介してくださる。
お寺のために協力を惜しまない方、まさに檀信徒という枠を超えた寺院サポーターであります。まさに寺院サポーターこそがお寺にとっての真の宝だと思うのです。
当山虚空蔵山大満寺の寺院サポーターの鑑とも言える福島幸子さんという方がおられました。お墓参りを欠かさない老舗の寿司屋の女将さんで前向きで面倒見が良い姉御肌。行持では先頭に立って持ち前のリーダーシップでいろいろな方を取り込んで盛り上げてくださる芸達者で、地域でも当山の名物檀家として有名な方でございました。
七十年前に福島家に嫁いでから長い間、大満寺を菩提寺としてサポートし拠り所としてくださいました。福島さんと折にふれていろいろ話をした際に、私が生まれる前から菩提寺である大満寺のことを深く考えておられたと知りました。
お寺の子供として生まれた私の成長を母におんぶされた赤子の頃から温かい目で見守ってくださいました。その福島さんの口癖は「方丈さん私が亡くなったらよろしく頼むよ」「みんなが幸せになれるようがんばろうね」。この二つなのです。
誰よりも明るく話されるその言葉に力強さと勢いがあってこういう人が百歳まで生きるんだなぁと常々感じて、私は冗談とも本気ともつかない声で「福島さん私より長生きされますよ」と笑ってお答えしておりました。
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