加えて、冬季の天気の特徴は、「とにかく目まぐるしく変わる」ことだ。有名なジョークに「アイスランドで天候を憂いたり喜んだりしても仕方がない。15分待てば変わっているのだから」というのがあるが、あながちジョークではないことが現地では実感できる。

日ごとに変わるのは勿論だが、一日の中でも吹雪の様な降雪で視界がゼロになる状態が30分ほど続いたかと思えば、突然太陽が顔を出したり、また曇ったりと、目まぐるしく変化する。

因みに、アイスランド語には、微風・疾風・旋風等、「風の状態」を表す言葉が156語あるというから驚きだ1。文字通り、風と共に生きてきたアイスランド人の知恵なのだろう。

COFFEE BREAK
雨でも傘をささない国

冬は雨も多い季節だが、筆者は滞在中に街中で傘をさしているアイスランド人を見たことがなかった。かなり強い雨の中でもそのまま濡れながら、或いはコートのフードをかぶって歩いていた。

職場のアイスランド人スタッフ(男性)に尋ねてみると、「傘なんか使ったことがない。風が強いので役に立たないし、だいたい傘を使うなんて女々しくてみっともない!」との回答。それでも時折、街中で傘を使っている人を見かけることがあったのだが、よく見ると外国人の旅行者だった。

冬は既述の通り強風の日が多く、傘を使うことが難しいことも確かだが、「風は弱いが雨は強い」状況でもこの習慣には変わりがない。女性も同様である。しかも、如何にも「レインコート」的なものは着ておらず、普段着のジャケットそのものが防寒・撥水加工とフード付きのものなのだ。

筆者も当初は日本から携行した傘を使用していたが、「みっともない」との回答を得てからは、66°Northという現地のアウトドアウエア・ショップでフード付きのダウンジャケットを買い、使い始めることにしたところ極めて快適で、「これで自分もアイスランド人の仲間入りだ!」と呟いていた(笑)。


【参考文献】

1 “Weather in Iceland, what is the weather like in Iceland ?” by Arctic Adventure 

https://adventures.is/blog/weather-in-iceland/

 

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