【前回の記事を読む】街中で傘を使っているのは外国人の旅行者だけ?! 傘を使用するのは「みっともない」というアイスランド人

第2章 気候

ウインタースポーツが盛んになるほどの降雪量がない国

降雪については、10月下旬頃から始まるのが一般的だが、毎日降る訳ではない。レイキャビクの月別降雪頻度・積雪量(CM)については、次の様な統計がある(1)

 

この統計からも判るように、また実感としても「雪は時々降るが普通は数日で溶けてしまう」のが通常なのだ。実際、アイスランドではスキーやスケート、スノーボード等はそれほどポピュラーなスポーツではない。その理由は、これらのスポーツが安定的に楽しめるほどの降雪や積雪がないからだ。

もちろん、レイキャビクでも時には連日零下の気温と降雪が続き、積もった雪がなかなか溶けないこともあるし、内陸の高原地帯や高緯度且つ山間のウェスト・フィヨルド地方等では、冬はシーズンを通じて積雪も多く、道路も凍結等で閉鎖され、孤立してしまう村もあるほどだ。従って、国全体としてはかなりの降雪があるのだが、人口が密集する南部の沿岸地域ではそれほどでもない、というのが実態だ。

また、スキー愛好者も少なくはないが、彼らの多くはスイスや米国・カナダのスキーリゾートに出かけることが多い。

驚かされたのは、「スキー通」の間では、北海道のふかふかとした柔らかいパウダー・スノーが有名且つ大人気で、「近い内に必ず北海道に行く!」という人が意外に多かったことだ。

気象庁が毎日オーロラ予報を出している国

アイスランドを訪問する外国人観光客のピークシーズンは、気候も良く白夜で活動時間も長い「夏」なのだが、日本人観光客は夏よりも冬に来ることが多く、現地の観光業界からは閑散期の救世主(?)として歓迎されている。オーロラを見る為だ(巻頭カラー写真参照)。

オーロラは冬にだけ起きる現象ではないのだが、夏場は日照時間が極端に長い白夜となる為、明る過ぎて地上からオーロラを見ることはほぼ不可能なのだ。オーロラが出現する仕組みは、太陽から噴き出された太陽風(電気を帯びた粒子)が、地球の磁場に捉えられ、磁力線に沿って極地方に降り注ぎ、高層大気にある原子や分子に猛スピードで衝突する際に作り出される光だそうで、北極や南極の周辺(より正確に言うと緯度65度から70度のドーナツ状の領域)でよく見られるという。

丁度、北緯65度前後に位置するアイスランドは絶好の位置なのだ。

もちろん、高緯度にあるノルウェーやアラスカ等でもオーロラは見られる訳だが、これらの国では、かなり人里離れた極寒の地まで行かないと見られない様で、冬でも比較的暖かいレイキャビク市内でも見られるアイスランドはかなり優位性があると言われていることは記述の通り。

従って、夜一定の暗さになる9月から4月初旬のほぼ8ヶ月の間、雲さえなければ、そこそこ高い確率でオーロラが見られるのである。因みに、アイスランドの気象庁では、毎日オーロラ予報を出している。オーロラが見られる可能性を0から9のスケールで表すもので、通常、3か4ぐらいで美しいオーロラが見られると言われる。