但し、この「雲さえなければ」というのが、やっかいなポイントであることは確かで、冬場に1週間滞在しても1度も見られなかった旅行者もいるし、3泊4日の滞在で毎日見られたという人達もいる。
筆者が滞在中最も鮮やかなオーロラを市内で見たのは、2017年11月8日で、当日のオーロラ予報の数字は「5」、大規模且つ鮮やかなその姿は翌日の新聞に写真付きで掲載されていた。
因みに、東京の立川にある国立極地研究所は、アイスランド大学との共同でアイスランドに4つの観測点を持ち、南極の昭和基地と呼応したオーロラの観測を10年以上にわたり続けていた。たまたま南極の昭和基地と、アイスランドのとある地域が、一本の磁力線でつながる時期が続いた為、約2万KMも離れた地点で同じオーロラを見るという観測活動が意義深いものになるというから、日本(昭和基地)とアイスランドとの不思議な「縁」を感じてしまう(2)。
余談だが、アイスランドの観測所はレイキャビクから北へ130KMの小さな村の農家に設置されており、毎年のように日本人の観測隊が機器の整備・点検もかねて訪れていた由だが、空が晴れて暗くなりさえすれば毎晩のようにオーロラを見ることができる地元の人達にとっては、わざわざ日本から重い観測機材を運んでやってくる日本人達は極めて奇妙な存在に映ったらしい。
COFFEE BREAK
オーロラ観賞ツアー
既述の通り、首都レイキャビクの街中でも運が良ければオーロラを見ることが出来るのだが、現地の旅行社が企画するオーロラ観賞ツアーでは、その確率を高める為、市内のホテルから郊外の観賞スポットまでバスで移動することが一般的だ(船によるツアーもある)。
バスツアーの利点は、市内が雲で覆われている時でも、雲の切れ間を探して観賞スポットまで案内してくれること、専門のガイドがオーロラの撮影方法等も教えてくれること、そして悪天候でツアーが中止になった時や、ツアーに出かけてもオーロラが見られなかった場合には、無料で翌日以降に再チャレンジができる、という万全のサービス体制が整えられている。
【参考文献】
1 “Does It Snow In Iceland?” https://doesitsnowin.com/iceland/
2 「 太陽風エネルギーの磁気圏流入に対する電離圏応答の南北極域共役性の研究」、大学共同利用機関法人 情報・システム研究機構 国立極地研究所 北極観測センター https://www.nipr.ac.jp/aerc/research/KP-5.html
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