長い冬は11月に始まり、翌年3月まで続く。この時期の最低気温の平均・最高気温の平均は、11月が0度と4度、12月が-1度と2度、1月と2月がいずれも-2度と2度、3月が-1度と4度。

特に最低気温の平均が最も寒い1~2月でも-2度と、日本の東北や北海道と比較してもかなり暖かいことに驚かされる。勿論、高地や氷河の近くでは、-10度や時には-20度まで下がることもあるが、首都周辺の平地で生活している限りはそこまでの寒さを体験することはない。

因みに、筆者の駐在中、レイキャビク市内で最も気温が下がったのは、2019年12月13日で、最低が-13度、最高でも-7度という例外的な寒さだった。

「風の状態」を表す言葉が156語もある国

既述の通り、冬でも極端に寒くなることはないが、その冬に悩まされるのが強風だ。そのメカニズムは、暖流のメキシコ湾流がアメリカ東岸に沿って北上し大西洋北端にまで達する一方、北極圏から流れ出す寒気流がこの暖かい海水から熱と水蒸気を得て、アイスランド付近で強い低気圧を発達させる現象が特に冬季に多い為だ。

これを気象用語では「アイスランド低気圧」と言い、この低気圧が雨や強風をもたらすことになる。平時でも傘が使えないほどの強風に悩まされるのが冬だが、特に強力な低気圧が接近すると風速(秒速)40~50mの暴風雨に見舞われることがある。

実際、一冬の間に、気象庁から「暴風雨警報」が複数回発出されることがあるし、そんな時には、地元の消防局と警察から「学校児童の単独下校は危険ゆえ、両親が迎えに行く様に」といった指導が出される。

最も驚いたのは、2018年の冬にケプラヴィーク国際空港に駐機してあったボーイング757型機(200~300人乗り)が、強風で半回転してしまったこと。100トン余りもの重量がある航空機が、風の力で半回転してしまうのだから恐ろしい!