【前回の記事を読む】なぜアイスランドは欧州で最も森林が少ないのか 森林率は低下の一途をたどり、わずか0.3%となった背景には...

第1章 自然・地理

森らしい森がなくなった国

COFFEE BREAK
夏を青紫色に染め上げるルピナスの花

以前の新聞報道で、アイスランド北部のフーサ・ヴィーク(Húsavík)での「ルピナス繁殖阻止計画」について具体的な取組み等が紹介されていた。筆者の様な素人には繁殖に伴う「実害」がよく判らないが、専門家曰く「アイスランドでは5500種の野生植物が確認されており、寒い気候ながらも短い夏に一斉に成長し花を咲かせているその在来植物達を守ることが重要なのだ」と。

いずれにしても、アイスランドを夏に旅行される際には、特に6月の上旬から7月下旬までの間であれば、このルピナスの群生の鮮やかな風景を堪能できる筈だ。

第2章 気候

首都の冬が北海道や東北地方より暖かい国

アイスランドは北極圏という高緯度にありながら、近くを流れる暖流(メキシコ湾流)のお陰で、夏は比較的温暖な気候に恵まれ、平地であれば冬であっても-10 度を超える様な極端な寒さに見舞われることは先ずない。

以下、アイスランドの四季について説明するが、実は四季を月別で区分するのはなかなか難しい。9世紀にヴァイキングが入植した頃から19世紀まで使われていた古いカレンダーによれば、4月下旬から10月下旬までが「夏」(Sumar)で、それ以外は「冬」(Vetur)とされ、春や秋は存在しないからだ。

生活実感としても頷けない訳ではない。とはいえ、微妙な気温や植生の変化から敢えて四季を区分すると、春は4月~5 月、夏は6 月~8 月、秋は9 月~10 月、冬は11 月~3 月になると思う。