4~5月の2ヶ月間が一般的に春とされる。実際、4月上旬には(暗く厳しい冬の気候から変わり)終日快晴の好天に恵まれ、春の到来を実感する日が多くなる。この頃には、草花も新芽を芽吹かせ、気象庁も正式に春到来宣言を出すことが多い。

但し、最低気温の平均・最高気温の平均で見ると、4月は1度と6度、5月が4度と10度前後なので、日本の感覚とはかなり異なるし、現地で暮らしていると、この頃の気候には冬・春・夏が同居しているのではないかと不思議な気持ちになることもある。

例えば、4月であっても、冬の象徴とも言える「降雪」に驚かされることがあるかと思えば、4月下旬に「夏の始まりの日(First Day of Summer)」という祝日が設定されていたりする。既述の通り、ヴァイキング時代の暦では、1年が冬と夏の2シーズンに分けられ、夏の始まりは「4月11 日(聖スタニスラオ司教殉教者の記念日)の後の第二木曜日」と定められていた為だ。この伝統に則り、1971 年以降、毎年「夏の始まりの日」を祝日と定め、国中でパレードをはじめとする祝賀行事が開催される様になっている。

いったいいつが本当の「春」なのか、アイスランド人に尋ねると、以下の様な回答が返ってきた。

「やはり4~5月の2ヶ月間だろう。4月に降雪があってもそれは例外的なもので、数日以内に雪は消えてしまうし、暦の上では確かに4月後半に夏の始まりの日が来るのだが、これは到来する夏を待ち望む気持ちを祝うもの。実際に夏を体感するのは、少なくても気温が10度を超える6月以降ゆえ、4~5月はまさに『春』と呼ぶべきなのだ」