脳梗塞の治療いろいろ
内科的治療
脳梗塞は内科的治療が主体ですが、発症からの時間によって治療内容が変わってきます。
◎超急性期治療
脳梗塞が起こった時間が分かる患者でも、その他の条件に合うかどうかの検査をする時間が必要となりますので、起こってから遅くとも3.5時間以内を目安に病院に到着する必要があります。
したがって、脳卒中の症状が出たらすぐに救急車を呼んで、症状を救急隊員(救命救急士)に的確に説明し、専門施設に搬送してもらうことが大切です。受け入れ病院は、病院到着前に病院として知っておくべき事項を把握し、準備を整えておくことが肝要となります。
rt-PAは体重で投与量を換算します。静脈注射により最初に総量の10%を急速投与し、残りを約1時間かけて点滴投与します。投与開始後24時間は出血の危険性が高いので、厳重に経過を観察します。また、36時間は患者さんの状態をよく観察できる病棟で経過観察を継続します。
rt-PAの投与には様々な条件をクリアする必要があり、そのため脳梗塞で病院に来られた方の5%(100人に5人)程度しか、この治療は選択されていません。さらに、ルールを守っても6%(100人に6人)程度の確率で 症状が悪くなるような脳出血を生じます。
rt-PAが血栓溶解薬として承認された後に、その安全性と有効性について全国調査がされました。その結果によると、rt-PA治療を行うことにより、3カ月後に身の回りのことが介助なしに行えるようになった患者さんの割合は33.1%でした。つまりrt-PAを投与することで、3人に1人は日常生活をご自分で行うことができるようになりました。
一方、症状が出るような頭蓋内出血(症候性頭蓋内出血)が 出現する割合は、36時間以内が3.5%、3カ月後が4.4%でした。3カ月以内の全死亡率は13.1%、症候性頭蓋内出血による死亡率は0.9%でした。
rt-PAによる血栓溶解薬が、うまくいけば劇的に症状がよくなる一方で、症状がよくならなかったり、出血などのために悪くしたりする可能性がある治療法であることを知っておいていただかなければなりません。