第4章 脳梗塞の治療いろいろ
心房細動に伴う脳塞栓症の抗凝固療法
しかし、NOACはいずれもワルファリンと同等かこれに勝る効果を示し、かつ頭蓋内出血が少ないことが分かってきたため、同等レベルの適応の場合には、ワルファリンよりもNOACの方がより強く勧められています。またCHADS2スコアが1点の場合に、新薬の中でダビガトランとアピキサバンの2つが推奨され、リバーロキサバンとエドキサバンが考慮可となっています。
ワルファリン投与における目標PT-INR(プロトロンビン時間国際標準化比)は、旧ガイドライン同様70歳未満は2.0~3.0となり、70歳以上の高齢者は1.6~2.6と低めに設定されました。
出血リスクの層別化は、2010年の欧州心臓病学会ガイドラインに採用された「HAS-BLEDスコア」(図1)が、日本人でも利用できることを示しました。同スコア0点を低リスク(年間の重大な出血発症リスクが1%)、1~2点を中等度リスク(同2~4%)、3点以上を高リスク(同4~6%)と評価します。
問題は、心房細動があって脳梗塞を発症した患者さんは、4人に1人しか発症前に抗凝固療法を受けていないという現状です。防げる脳梗塞をこれまで防げていなかった可能性があります。