第3章 認知症の治療
認知症の患者さんが最も安心できる場所と人は、一般論ですが、
1)家庭・家族、家、慣れ親しんだ街、ご近所、民生委員
2) デイケア・デイサービス、施設入所・短期入所・介護専門スタッフ
などです。
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混乱・精神症状がある場合、認知症の一時期に、徘徊などの行動障害や興奮などの精神症状を現わすことがありますが、ケアの仕方で改善することも多いようです。「徘徊」と切り捨てるような言い方や見方ではなく本人にとっては、目的や理由があることだと考え、敬意を込めて「ひとり歩き」、「お散歩」と言い換える動きもあります。
しかし、患者本人の疲労、家族の疲労が大きい場合には、ケアマネジャー、在宅支援センター、かかりつけ医、病院のソーシャルワーカー(社会福祉士や精神保健福祉士などの相談員)などに相談し、入院治療や施設を紹介して貰う必要があります。病院・療養病院への入院、介護施設・ホームへの入所、デイケア利用病院・療養病院への入院、介護施設・ホームへの入所と、認知症の重症とは直接の関連はありませんが、認知症家族介護者へのケアを考え、在宅療養が不可能であれば病状に合わせて療養の場を選択すればよいのです。また、患者さんの攻撃性や興奮などが、介護者のケアの仕方に問題があることがあり、ショートステイやデイケアなどの利用が勧められます。
ここで、介護者にとって大きな懸案事項は生じる費用の問題です。最寄りの市町村高齢福祉課、地域包括支援センター、居宅介護支援事業所などに相談されるのがよいでしょう。激しい興奮・徘徊による体力消耗・攻撃性・拒絶・夜間せん妄・幻覚・性的異常行動などの症状がみられる場合には、介護者の疲労回復の観点からも、入院生活にて昼夜のリズムをつけるなどの目的で薬物療法・リハビリテーションを行います。精神症状が薬物コントロールで改善できない、あるいは行動異常(徘徊など)が改善できないなど、在宅介護が困難な場合には、療養病院や老健施設・特養ホームなどの施設での治療が必要になります。
非薬物療法としての種々のケアを紹介します。行動療法として環境や習慣の調整にはビデオを用います。感情療法としては回想法があります。親しい人の声をテープで聞かせる擬似対面療法もあります。
認知療法として、リアリティ・オリエンテーション(RO)や記憶訓練も行われています。刺激療法としては、デイサービスや認知症カフェなどで芸術(音楽、画、粘土細工)療法や運動療法(散歩、ダンス、マッサージ)が行われています。