第4章 脳梗塞の治療いろいろ

日本で使われるオザグレル・アルガトロバン

実は日本には、もう1つアルガトロバンという注射薬があります。血液を固めるために、血小板と凝固因子が主に働きます。オザグレルナトリウムは血小板の働きを抑えますが、アルガトロバンは、トロンビンという凝固因子の働きを阻害することで血液をサラサラにし、脳血流を改善します。

脳梗塞の中でもアテローム血栓性脳梗塞、分枝粥腫型梗塞(BAD)の方に主に使用します。発症後48時間以内の脳梗塞の治療に用いることができ、基本的に1週間続けて使用しますが、3日目から投与量を減らすことと、今後の再発予防のためには抗血小板薬を服用することが必要です。

病状によりますが、早い時期からこれらの抗血小板薬を併せて服用することが多いと思います。ガイドラインでは、オザグレルナトリウム(商品名:カタクロット、キサンボン)160mg/日の点滴投与は、急性期(発症5日以内)の脳血栓症(心原性脳塞栓症を除く脳梗塞)患者の治療法として推奨されています。

現段階で非心原性脳梗塞の再発予防上、最も有効な抗血小板療法(本邦で使用可能なもの)はアスピリン75~150mg/日、クロピドグレル(商品名:プラビックス)75mg/日、シロスタゾール(商品名:プレタール)200mg/日、チクロピジン(商品名:パナルジン)200mg/日であるとされています。

なお、シロスタゾールはラクナ梗塞に推奨されています。急性期の治療には、患者さん1人ひとりの病態に合わせて治療薬の組み合わせを決めて行く必要があります。