「確かに先輩のおっしゃるとおりでございます。私はスカウトされた喜びと、自家用車に乗せてもらえること、それに……」

「ガムとチョコレートか。これからいろいろ勉強ね」

京子さんはけたけた笑った。

こんなこともあった。その日は最悪で、京子さんは何とか仕事にあり付いたが、珠輝に仕事はなかった。珠輝の勤め先では比較的遅い時間に仕事が入るため、夕食は通常なら夜食に当たる時間だった。

朝食は八時に取り、午後の四時くらいに昼食だが、これが夕食のようなものだった。食事は常に一汁一菜だった。

その日、夜の食事を取ろうとして、京子さんに声をかけようとしたときだった。

「あんたたち、ご飯はあるけどおかずがないよ」

次回更新は8月16日(土)、21時の予定です。

 

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