A small creature
毎年初夏になると、軒先でドラマが展開する。
南国からやってきた燕が卵を産み、かわいい雛が顔を覗かせる。餌をねだる声もじょじょにかしましくなり、黄色い大きな口が餌を競い合う。
毎年のことながら、つぶらな瞳と愛らしいしぐさに、人間の心はほろりとさせられ、毎日見守らずにはいられない。いずれは巣立っていくとわかっているだけに、親を待ち受ける小さな命たちを応援したくなる。
親鳥にとっては警戒心をかき立てられ、雛にとっては大きなお世話だろうが、おろかな人間は毎日巣の中を覗き込んでは、雛の姿を心の糧にしている。
耳を澄ませば、朝も早くからカッコウが鳴いている。橋から見れば、川の流れに長い脚の先を浸して魚を追う白鷺もいる。水をたたえた田んぼでカルガモが泥をかき回しているかと思うと、高い梢でこれ見よがしに大声を張り上げるカラス。尾をこまめに上下させて、セキレイがホップ、ステップ、ジャンプ。雀らはかしましく鳴き暮らし、鳩は葉陰で寄り添って眠る。
この頃、人間が犯す殺伐としたニュースばかりがテレビを賑わしている。
小さな生物(a small creature)の鳥たちはひたすら大空を飛びながら、生きる糧を追い求める。その姿は、生活に追われる人間とも重なる。けれど、どこかけなげで美しい。愛らしい燕らが巣立つまで、あと何日……。