【前回記事を読む】【詩集】「Adagio アダージョ」など移ろいゆく時間の流れを繊細な言葉で綴った三篇
「人知れず」
春の訪れ
河川敷のしげみに
密かに咲く花
誰に気づかれることもなく
そっとそこに
風に小さくゆれる
この春を待って
またこの年も
交わったり離れたり、時に絡まったり、交差していく人の心。
はっきりとした線引きはないけれど確かに訪れる季節から季節への移ろい。
乱れることなく一定のリズムで刻まれていく、どんなときも平等で静かな時間の流れ。
確実にそこにあるけれど、手で触れることのできない形のないものたち――。
どことなく切なさを纏わせながら心に響く繊細な短編詩集。
【前回記事を読む】【詩集】「Adagio アダージョ」など移ろいゆく時間の流れを繊細な言葉で綴った三篇
春の訪れ
河川敷のしげみに
密かに咲く花
誰に気づかれることもなく
そっとそこに
風に小さくゆれる
この春を待って
またこの年も