春の通り

汐田 文香
出版社名:幻冬舎メディアコンサルティング
発行年月:2025年3月31日
価格1,200円+税
<収録作品抜粋>

「Prelude プレリュード」
雨の匂い
庭先の金魚草たちが踊る
微かに響き合い
静寂の波の中で
音を織りなす
それは
自然の前奏曲のようで
美しくその場を漂いながら消えてゆく
ひとつ残らず

「ライラック」
紅茶を片手に
喋り込む私とあなた
時々 肩と肩とが触れる
私は唇を噛む
心が揺らぐ
このまま二人で
紫の海の中へ
落ちてしまいたい
永遠に

掲載記事

著者詳細

汐田 文香
1997年 生まれ。
日頃から言葉を認めることが多く、その中でも自身の内面や感情、移ろいゆく時間の流れを感じたままに言葉に描く。
旅先 広島の地で出会った方に「きっと、書く道に進んだほうがいいよ」と後押しされその後、執筆を始める。
本作『春の通り』より「青い魚」はその時の光景から着想を得て創作したものである。