【前回記事を読む】静かに時を刻む——三篇の詩が映しだす、心のリズム
「オーデコロン」
長い髪に
散りばめられた
甘い余韻
静まり返った部屋に
彼女の残像が広がる
愛おしく
何処か
儚さを灯して
交わったり離れたり、時に絡まったり、交差していく人の心。
はっきりとした線引きはないけれど確かに訪れる季節から季節への移ろい。
乱れることなく一定のリズムで刻まれていく、どんなときも平等で静かな時間の流れ。
確実にそこにあるけれど、手で触れることのできない形のないものたち――。
どことなく切なさを纏わせながら心に響く繊細な短編詩集。