評論 詩 短編集 ことば 2025.07.13 静かに季節の移ろいを受け止める心──春の風景と小さな再会がもたらす、やさしく胸に響く3つの詩 「また会ったね」 とても心地の良い 春の陽気に包まれていた日 二匹の犬たちと いつもの公園へ 春が近づく にぎやかな景色 楽しげな声 小さな子たちが 「ワンちゃん」と 素直で元気で活発で 一周して 「あ、」 「また会ったね」と
小説 『「本当の自分」殺人事件[注目連載ピックアップ]』 【第9回】 水木 三甫 硬直する体に構わず、若い桃のような頬に唇を当てる。首筋からさらに下へ、新鮮な匂い。しがみついていた力は抜け… 【前回の記事を読む】「好きな店でいいよ」と絶対に言わない。行く店は決めてくれるし、選ぶ店のセンスもいい。浮き彫りになる、夫の物足りなさ。高校を卒業すると、希代美はすぐに故郷を捨てた。都内の小さな問屋にどうにか事務職を得た。希代美は一生懸命働いた。会社とアパートを行き来するだけの生活。とにかくお金を貯めたかった。一人で生きていくためにはお金を貯めなければいけないという強迫観念があった。預金通帳の残…
小説 『居場所がない団塊世代のあなた方に』 【第2回】 阿弥 阿礼 現代の日本の礎を築き、その繁栄の基礎を築いたのは我々団塊世代であった。だからこそ日本の将来に貢献する責任と義務がある 【前回の記事を読む】かつて、あなた方は時代の主人公であった。あの時あなた方が抱いていた思いは、理想は――一度、進む方向を誤るとそれは一期の過ちとなり、ボタンのかけ違いと同じように歯車が狂っていく。戦後、80年が経過した。現在、日本は国家として経済的には円熟している。今後、さらに繁栄していくという国家目標と、高度成長後の最終目的であった環境汚染のない社会、そして国民を中心とする格差や貧困がなく、都…