「そうか」

「性格が明るくてムードメーカー」

「確かに」

返事が単調かつ相槌しか返ってこない。精度の低いAIと話している気分だ。一体どんな回答を求めているのか知らないが、正解を見つける前に私が知っている東堂の情報が尽きてしまうかもしれない。

「あと、そう……なんだろ、人気者?」

「そうだ。一彦は男女問わず人気がある」

なんとか絞り出した最後の一答だけ、反応が違った。ちゃんとした文章が返ってきた。

「だから、俺が一彦のことを好きでもなんの不思議もない。むしろ自然なことだ。そうだろう? 別に特別なことじゃない。

知能を持った生物として生を受けたからには一彦に惹かれるのは絶対的普遍の原則であって、それに逆らうことは生存本能に逆行する愚かな行為で、人類が脈々とつないできた歴史を遺伝子レベルで否定す……」

「え? 西海って東堂のこと好きなの?」

急に能弁になった西海が、私の一言で急に黙る。スイッチのオンオフが激しい。こいつ、こんなロボットみたいなやつだったんだ。

「なんで初めて聞いたみたいな反応をしてるんだ。お前、春休みに聞いてきただろ? 一彦のことを好きなのかって」

「聞いてない。私は南さんのことを好きなのかって聞いただけで……」

「は? 南? なんでそこで南の名前が出てくる?」

何か話が嚙み合わない。

私はてっきり、西海は南さんのことが好きなのかと思っていたけど、どうやら南さんではなく東堂のことが好きらしい。そして西海は私がそれを指摘してきたと言っている。なんでそんな食い違いが起きているのか。

 

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