その垂れた目といい、少し肥満気味の体といい、かなりの存在感がある。愛情たっぷりに育っている印象。そっと撫でてやると満足そうな顔をして、どたりとMさんの膝の上に体を預けた。
実際に元気いっぱいのピッポと一緒に暮らすことになったら、どうだったのだろう。嫉妬心の強い犬ならば、ピッポを邪険にするかもしれない。
あるいは家の外と中で生活領域を分け合って、仲良く暮らしただろうか。どちらにせよ、ピッポは我が家に無事帰還した。
犬好きなMさんに出会えて、ピッポも幸せ、私も幸せ。幸運に感謝。
へそくり
私も夫も、犬は家族の一員と思っている。飼われている犬のほうも、そう思っているに違いない。
我が家は入口から玄関まで飛び石がいくつか並んでいるが、帰宅してもまともにまっすぐ歩くことはなく、必ずピッポが繋がれている犬小屋の前へ足を運び、今日も一日よい子でいたね、と頭を撫でてやる。
ピッポのほうでもそれが当然のものと、帰ってきた人間の動きを目で追っている。
ある日のこと、夫が夜遅くに飲み会から帰ってきた。よほど楽しい会だったのか少し酩酊ぎみで、玄関に入ったとたんネクタイをほどき着替えもそこそこに、ベッドへ倒れ込んだ。