【前回の記事を読む】ギヤ自身ではボックス内のグリスが劣化固化して回転不能になることも意外と多く、金属ギヤ自体の損傷は少ない

第3章 各種電動車における不具合モードの具体例

3.3 電車・気動車・各国新幹線仕様特有の不具合

海外製では電車の場合、パンタグラフからも集電できるように切り替えスイッチが付いた構成をNMRA(National Model Railroad Association、全米鉄道模型協会)規格に準拠して設けられていますが、国内製ではその縛りはありません。また、DCCデコーダ付でもDCC/アナログDC兼用のモデルも増えてきました。

1)縦型モーター駆動による汚れ

これは、蒸機でも電機でも同様ではありますが、特にスピードを上げて走る電車・気動車に多いです。

電気を各コイルに分配して、周辺に設置されている磁石と反発して回転力を得る直流モーターでは「整流子(コミュテーター)」と呼ばれる回転電極と、それに接するブラシが摺動していますが、このブラシがカーボン又は焼結金属でできているため削れて電極汚れおよび電極間にある溝に埋まりショートを引き起こし回転しなくなります。

Nゲージで多く使われる横型モーターでも同様です。定期的にクリーニングする必要があります。

写真を拡大 図12 直流モーターの構造(マブチ社製)と実際の縦型直流モーターのブラシを外して清掃中

しかし、最近は缶型のモーターも増えていますが、これは全て缶ケースの中に覆われていますので埃・ごみの巻き込みは減ります。一方整流子部分のクリーニングは難しく、交換することになります。

また、小型化ができて台車内に駆動機構と共に組み込めることからコアレスモーターも増えてきました。これはローター部に鉄心がないのでカクカクッという回転ムラが生じにくく音も静かで回転数が速くて良い一方、大きいトルクには限界があります。比較的低価格なので不具合が生じた場合は交換するのが良く、かなり普及してきました。