【前回の記事を読む】通常走行して楽しんだアフターケアとしては少なくとも車輪の踏面のクリーニングはしておきたい

第4章 海外製の特徴

ご承知のようにヨーロッパ各国での老舗のメーカーが多くメルクリン社の三線式交流などの戦前からの歴史的なメーカーもあります。また、各メーカーでも個性的な、メカニックに強いマニュアックな設計を取り入れているため車体組立て方法も走行構造も多種多様です。

今日ではメルクリン社が多くのブランドを合併していますが、それでもブランドを残し各メーカーの設計仕様は一様ではありません。初期製品は車体と下回り、そして台車枠もダイキャスト製が多く重厚感のある製品が多かったです。内部構造、通電系もシンプルでした。

一方で、設計技術革新が進み金属製は減ってきて、精密な金型設計技術が取り入れられて細かい部品も一体化できるようなプラスチック製品が多くなってきています。ここにも凝った設計が見受けられます。製造の多くは欧米ともに中国で行われている製品がほとんどです。中国製でも大変精巧なモデルを製造しているメーカーもできてきました。

これら欧米の製品は、国内では総代理店が販売しているケースが多いですがほとんどの場合完成品とその周辺部品しか取り扱っておらず、不具合が生じた場合に交換部品を手に入れようとしても海外の代理店経由で行うしかなくとても厄介です。

従って修理するにあたっての系統的な指針をまとめにくいのですが私の経験から大まかに整理すると以下のようになります。

1)プラスチック製の動輪スポーク・ギヤが多用されており、割れや空回りが発生するなど致命傷が発生しやすい。

2)アメリカ型の2シリンダーを有する“チャレンジャー”や“ビッグボーイ”や“マレー型”と呼ばれる大型蒸機での不具合修理で分解することも大変難しい作業となります。これらには各メーカーは詳しい構造を記載した説明書が付属しているので熟読して順序よく分解していかねばなりません。

分解して不具合箇所を修復できても、さあ元に戻して組立てようとしても手順をしっかり把握しておかないとつらい思いをします。蒸機の場合トラクションタイヤなどとも称するゴムタイヤを交換するだけでも苦労することになります。

3)昨今の分解修理の難しさ。ICE、ETR、TGVなど欧州新幹線型などの編成車輛は下回りと車体を取り外すのが国内製に比し凝っていて結構手間を要しますし、万一外せても後で元に戻すときの手順をしっかり記録しておかないと復帰できないことも多くあります。

必ず写真を撮っておく必要があるほか、デッキ周り、台車周りや付属パーツを破損しやすいです。