最も早く解が見えたのは②の点。発行体側の UBS にこのスキームでの相談をしたところ、さすがに金取引本場の金融機関らしく、これへの機能とサービスの提供はアレンジしてくれることとなった。できれば③も行う旨の提案も受けた。

一点目の解決には行内の幾つもの部署が関係し、複雑な議論になった。しかし、銀行の関連会社を統括、管理していた関連事業部の担当次長の一言で、前に進むことになった。

「グループのリース会社を育てて当行の顧客のニーズに応える体制を構築して行くのに、必要なのではないか」と(因みにその担当次長は現在、大手不動産会社会長の Nu さんであった)。

発行体のリスク分析は国際審査部のお墨付を得たものの、Fリース一社で巨額のファイナンスを抱え切れるものではない。Fリースの提案で、リース会社のシンジケート団を組成することとなった。

Fリースが幹事を担うことで業界での地位と実績に資することにもなる。劣後債の高い金利に見合った利回りを得る機会にもなるし、優良リース会社との取引シェア拡大にもなるとのことで、当行からバックファイナンスを付けたパッケージ商品として売り込むことにした。

即ち、そのままのリスクでも当行の与信対象となる Lloyds Bank の劣後債を担保に、優良リース会社への与信という形で、通常の運転資金供与のファシリティーより高い金利で良質のローンを供与してシェアアップを図れるのである。

大手リース会社取引を管かんかつ轄していた本店営業部の企画部門(営業企画部)が主導して、先ず当行にとって取引拡大したいリース会社のリストアップと審査部による事前の与信審査を行い、美しくまとめた提案書を“インフォーメーション メモランダム(案件概要書)”として、Fリースの担当者が同業の他社に配り、シンジケート参加を募るのである。

銀行はリース業務を行うことが禁じられているため、そこに当行の名は一切出て来ない。但し、Fリース担当者よりは、参加条件として、当行より ○○の条件でバックファイナンスが前提です、と念押しされるという仕立である。

魅力的な利回りとリスク、且つ乗り易いパッケージであったので、シンジケート団は無事組成された。

 

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