はじめに

「ティル・オイレンシュピーゲルの愉快ないたずら」と題される楽曲がある。自分の好きな作品の 1つである。

「昔々あるところに……」との語り出しで始まるのであるが、自分のたどってきた道を振り返った時、ある部分は、そう表現しても許されるほど時間が経過していたり、または新しい事象に埋もれていることに気がついた。

そんな昔話をすると、面白がって、「もっと詳しく聞かせて欲しい」と後輩たちより請われることもある。

口下手なので、このように書いたもので、ご興味ある方々にはお伝えしたいと思い、筆を執った次第である。

もし、金融という分野に好奇心を持って、この業界で何かしたいという方がいるのであれば、現在社会でご活躍されていらっしゃる、特に若い方々には、少し前の同業の現場で行われていた活動の記録として、幾ばくかでもご参考になれば幸いである。

シンジケートローンについて

・借主は大型のファイナンスを、Agent(主幹事)一行、又は CoAgent(共同主幹事)数行から成る引受団を相手に、1つの契約書で行うことができる。

・その後の管理、資金のやり取りも、Agent 一行を相手に済む。

・Agent は、ファイナンス総額を必要に応じ、Co-Agent と共に、一旦引受け(アンダーライト)、銀行市場でシンジケート団を組成する。(Agentは“インフォメーション・パッケージ”を用意し、配布、質疑応答を経ながら)

・最終引取額は、通常 Agent が最も多く、次が Co-Agent、そしてそれより少額の金額毎に参加手数料を定め、参加を募る。