今までは消炎鎮痛薬で凌ぐしかなかったですが、2022年に新しくジタン系薬剤が登場しました。ジタンは血管収縮作用がなく、分子量が小さいので脳のバリアを通り、脳の中で痛み物質が放出されるのを抑えます。また脳の外(末梢)の三叉神経でも神経伝達物質の放出を抑え、2つの作用で片頭痛の痛み発作を抑えます。

飲むタイミングが遅れても効果があり、また24時間後も効果が持続することから、ぶり返さない、長持ちする薬です。ただし、中枢性に働く特徴から、服用時にめまいやふらつき、眠気などが出る方もいますので、初回は寝る前に、食事やお風呂、家事を済ませて横になれるときの服用をお勧めしています。

1回目に副作用があっても、2回目以降は脳が慣れて飲めるようになるので、安心して服用してください。

トリプタンとジタンでうまくコントロールできるようになればしめたものです。

コラム⑤

緑の光が片頭痛を和らげる~痛みの日数が減り生活の質も向上

片頭痛は緑色の光を浴びることで頭痛の回数が減り、生活の質(QOL)も改善するという研究が発表されました。

片頭痛のある患者さんに最初の10週間は毎日1~2時間、白色発光ダイオード(LED)を、その後2週間あけて、緑色LED(波長525nm)に毎日1~2時間当たってもらい、これを10週間続けました。

1か月あたりの頭痛の日数を尋ねた結果、緑色LEDでは、反復性片頭痛群で頭痛日数が7・9日から2・4日に慢性片頭痛群でも22・3日から9・4日に減少しました。また緑色LEDは痛みの強さを軽減し、睡眠や日中の活動を改善し、総合的なQOLを向上させました。

特殊なメガネで赤色や青色の光を遮ると、片頭痛患者の痛みが低下したという報告もあります。ちなみに頭痛協会のシンボルカラーは緑色です。「緑」が片頭痛を和らげるというのは直感的にも納得できます。

〈屋久島、白谷雲水峡:もののけ姫の森〉

 

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