【前回の記事を読む】大腸検査で大量のポリープが見つかった。「危なかった、がん細胞があった」と言われたが、オーバーなおどかしと思っていた。
第四章 2015年(後)
12月19日(土)
体重
今朝は目が覚めてみると6時45分であった。こんな時刻まで眠ったのは久しぶりである。
昨晩が遅かった。ポリープ切除あとの養生で酒が呑めない。必然、小用の要求が出なかったこともある。
酒さえ呑まなければ、夜中に起きることもないのである。しかしそのために酒を控える気はない。
下へ下りると台所に良子がいない。鍋をあけてみると常食のお粥が、食べられた形跡がない。
不安を感じた。間もなく良子は戻ってきた。元気がない。
「うんこは出た?」
「出そうで、出ない」
私はぞっとした。
「オナラは?」
「出る」
少し安心した。食べる量が少ないのだから、多少の滞りは仕方ないと思った。
「体重は少しは増えた?」
良子は首を振った。
「51キロのまま」
手術前は59kgあった。8キロ減っていることになる(私は74kgが71kgになった。一時70.5kgになった)。
「抗がん剤は」と良子が言った。
「やってみて副作用がひどかったら、やめるね」
私はそのことに反対しなかった。
「それで再発がなくなる訳でなし」と良子は言った。