【 二 】
私は頭が朦朧としたまま、真夜中の三時に目覚めた。どうやら、妹へ送る手紙を書きながら、そのまま眠っていたらしい。昨日分の薬を飲んでいないことを思い出し、慌てて薬を取り出した。冷たい水道の水でごくりと飲み込み、一つ息をついた。
昨日の疲労が残る体を深々とベッドに沈める。疲れがどうあれ、目を覚ましたら行かないといけない所がある。備付けの目覚し時計をセットし、私は再び眠りについた。
午後二時。かすかに目覚しの鳴る音がする。ゆるりと体を起こし、紺のジーンズを穿く。明るい灰色をしたダウンジャケットを着る。
かすかに軋む階段で一階に下りると、白くて薄いカーテンレースにもたれながら、ラファが段ボールの箱を食い入るように見つめている。
「ラファ、何してるんだよ。……あっ!」
「ふふっ、美味しいよ。涼も食べなよ。ほら」
ラファが食べているのは、永ちゃんが届けてくれた野菜の中に交じったりんごである。
赤い果肉に白い歯を立て、かぶりつく。くちゃくちゃと音をさせながら旨そうに食う。
食事のマナーがなっていないと言ってやりたくなる気持ちと、せっかくの頂き物をこんなに下品に食すのかと残念な気持ちとが、同時に湧き起こる。
次回更新は4月18日(金)、22時の予定です。
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