まえがき

本書『決算書はすべて立替金』は、経営の新たな視点を提供し、その視点を活用して経営活動をより明確に把握、分析、計画、予測、そして実行するための手助けを目指しています。

読者の皆様がこの視点を取り入れることで、自分のビジネスに対する理解を深め、組織への信頼を強化していただけることを願っています。

本書では、「立替金の視点」を通じて経営活動を再評価し、新たな経営のアプローチを提案します。

多くの方が決算書を理解するために簿記を学び、経営分析のスキルを磨いてきたことでしょう。また、経営計画を立て、実践に活かそうと努力されたことと思います。

しかし、いざ決算書を目の前にすると、その内容に対する理解が十分でないと感じたり、完全には納得できない、あるいは確信が持てないと感じることはありませんか?

その原因の一つは、売上が「立替金の回収(売上)」であり、費用が「立替金の支出(費用)」であるという視点から、「決算書」の「貸借対照表」と「損益計算書」を適切に理解し、アプローチできていないことにあります。

本書では、「売上」や「費用」という一般的な概念ではなく、「立替金の回収(売上)」と「立替金の支出(費用)」という視点で経営と資金繰りを考えることを提案します。

この視点を持つことで、決算書をより深く理解し、現状の把握だけでなく、効果的な経営計画や資金繰りの策定が可能となります。

また、本書では「決算書」に記載されている「現預金」を「預り資金」として表現しています。

「決算書」における「現預金」とは何かというと、実際には「出資者」や「融資者」が利益を得るために、あなたの会社が商品やサービスを提供された際に発生した債権を「供給者」から買い取るために、あなたの会社に預けているお金です。